電子メールのない時代の恋

かれこれ20年以上前の話になりますが、
私が中学生の頃、それはまだネットもメールない時代。

もちろん携帯電話もないので、女の子と電話する為には自宅の固定電話に電話しなければならず、
相手の父親が出ませんようにと祈りながら電話をかけていました。

そんな青春時代のある日、ふとしたきっかけで、気になってた女の子と文通のような事を始める事になりました。

きっかけは、僕が授業中にサボりながら描いた4コママンガ。
最初は授業中に4コママンガを描いた紙を小さく畳んで、こっそり友達に廻して楽しんでいたのですが、
その女の子も読みたいという話になり、廻すようになりました。

その後、マンガだけではなく、その日の出来事とかおもしろい話とかを
小さな紙に書いて女の子だけに渡したりもらったりし始めて、
小さな紙に書ききれなくなると、便箋に書いてやりとりを始めました。

ただ、そこまで大きくなると周りにバレてしまうので、
教科書に挟んで貸し借りする振りをして渡したり、
朝早く2人だけ来て交換したりするようになり、
そのような事が中学校2年生の2学期から中学卒業までほぼ毎日続きました。

それぞれ、男子特有、女子特有の話を書いたり、受験勉強を励ましあったり、
ちょっとした悩みや相談だったり、手紙だからこそできる、充実した交流でした。

その間、私はどんどん彼女の事が好きになり、気持ちが抑えきれなくなりましたが、
この気持ちを打ち明けてしまうと、この交流も終わってしまうかもしれない。

なにより、彼女は運動もできて勉強もクラスで1・2位を争う程できて、
複数の男子からも好意を持たれてたので、
これ以上の関係に進む自信がまったくありませんでした。

しかし、卒業が近づくにつれて、気持ちは焦る一方。
彼女は市内でNo1の高校を目指していたので、間違いなく卒業後は離れ離れになってしまう。

この文通が終わってしまうとしても、気持ちを伝えないと後悔してしまうと思い、
3年生2学期最後の日に、手紙の中で気持ちを伝えました。

しかも、自虐的に、
「こんな事を言ってしまったら、もう文通も続けられなくなるかもしれない。でも、気持ちだけは伝えたかったんだ。」
と、余計な一言も入れてしまうというヘタレ振り。

結果は、想定通り進展できず。

しかし、彼女は、

「君の手紙を読みながら、泣いてしまいました。
 突然離れていこうとするから。
 私、今は恋はしていないけど、親友として君が好き。
 ”LOVE”と”LIKE”の中間くらい。
 だから、文通は続けてください。お願いします。」

と言ってくれて、卒業直前まで文通は続きました。

その後、彼女は目標の市内No.1の高校に進み、道は分かれてしまい、
気軽に連絡を取る方法も失われ、次第に離れていきました。

今はもうお互い家庭を持って幸せに暮らしていますが、
その頃の手紙は実家に大切に保管してあります。

私のほろ苦くも暖かい記憶と共に。